遺言ってなに?
目次
口約束は有効か
「遺産をあげる」
生前に言われた口約束、有効でしょうか?
口約束とはいえ故人の意思表示は有効と考えられています。
ただし実際に遺産を手にするためには、口約束を証明するものの提示が必要になります。
遺産分割協議の際、自分に有利な口約束があったと主張する相続人が他にも出てくるかもしれません。
口頭でのやりとりのみで書面を作成していない場合、その証明が困難であることは想像にたやすいでしょう。
それでは口約束がもらえたとき、これを現実的に有効なものとさせるためには、どのような準備が必要でしょうか。
次の2つ、いずれかの方法で口約束を現実的なものにすることができます。
① 死因贈与契約書を作成する
② 遺言書を作成する
死因贈与とは
死因贈与とは、贈与者が死亡した後に効力が発生する贈与のことをいいます。
贈与者と受贈者の間で「贈与者が亡くなったら財産を贈与する」という約束(契約)をすると、死因贈与は成立。
一方的な意思表示でなく、契約によって贈与者と受贈者の双方が同意する必要があります。
遺言書の作成
遺言書には、自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3種類があります。
形式による効力の差はありませんが、成立する要件に違いがあるため、それぞれの形式を理解しておく必要があります。
自筆証書遺言
最も簡易的な方法で費用がかからず、いつでも自分の好きなときに作成できます。
ただし保管は自己責任であり、発見されない可能性や紛失・破損のリスクがあります。
また本文は本人の自筆でなければ認められません。
公正証書遺言
最も確実に遺言を遺せる方法で、公証役場に出向き、証人立会いのもと、遺言を公正証書として作成します。
原本が公証役場で保管されるため紛失・破損のリスクはほとんどありません。
また公証人が作成するので、文字を書けない人でも作成でき、記載不備による無効とはなりません。
しかしその一方で手数料が必要です。
秘密証書遺言
上記の2つを折衷したような方法で、自分で作成した遺言書を秘密にするため、公正役場で所定の手続きを行い保管してもらう方法です。
自分で作成した遺言書の内容を秘密にしておきながら、自筆証書遺言の問題である偽造や紛失を防ぎます。
締 め
現実的には、遺言書を書いて欲しいと頼むことは簡単なことではないでしょう。
また頼んだところで、必ず書いてくれるとも限りません。
しかしながら遺言は、自分の意思で分配割合を決定することができ、残された家族への想いやメッセージを明確に伝えることができます。
まずは相続により生じる可能性があるトラブルについて説明し、遺言書がないことのリスクを理解してもらうことから初めてはいかがでしょうか。
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